株売却で確定申告しないと税務署にバレないのか?【リスクを徹底解説】

株売却を確定申告しないと税務署にバレないかを心配している

株売却で確定申告をしないと税務署にバレないのかを気にしている人は多いと思います。

結論からいうと、税務署にバレないことはなく、むしろバレる可能性が非常に高いです。

そこで本記事では、税務署にバレる原因、バレたときのリスク・デメリットの解説をします。

さらに、株売却の確定申告にまつわる税金社会保険料の制度について紹介します。

この記事で分かること

(追徴課税の種類)

追徴課税の種類税率
延滞税
(納期限までに納税が行われなかった場合に課される)
2.4~14.6%
過少申告加算税
(申告漏れやミスにより、税額が少なく申告された場合に課される)
10~15%
無申告加算税
(申告期限までに申告をしなかった場合に課される)
5~30%
不納付加算税
(源泉徴収税の納付を怠った場合に課される)
5~10%
重加算税
(脱税した場合に課される)
35~40%
執筆者情報

1988年生まれ
公認会計士税理士

株式・投資信託・FX・仮想通貨・NISA・iDeCoなどの税務対応支援を行っています。
個人でも投資・ファイナンス理論を勉強し、株式投資やNISAつみたて投資をしています。


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目次

株売却で確定申告をしないと税務署にばれる

株売却(株式譲渡益)で確定申告をしないと税務署にばれる可能性が非常に高いです。

なぜなら、証券会社が納税者の証券口座に関する取引情報を税務署に報告する義務があるからです。

具体的には、証券会社は翌年1月31日までに、顧客の1年間(1月1日~12月31日)の株式売買の取引情報を「株式等の譲渡の対価等の支払調書」「特定口座年間取引報告書」「非課税口座年間取引報告書」で税務署に提出します。

そのため、税務署は証券口座の利用者の株売却などの取引情報を全て把握することができます。
(一般口座・特定口座に関係なく、全て税務署に把握されます。)

したがって、確定申告の義務があるにもかかわらず確定申告をしないと、税務署から問い合わせが来たり、最悪の場合は追徴課税が課されることがあります。

さらに、悪質な場合には懲役・罰金などの罰則(刑事罰)が科されることがあります。
(参考:内閣府HP「罰則」)

確定申告シーズンには、国税庁から毎年「確定申告特集」が情報発信されているので、必ず確認して「確定申告の必要があるのに申告していなかった」という事態を回避しましょう。

なお、「特定口座(源泉徴収あり)」の場合は確定申告の義務はありませんが、特定口座(源泉徴収なし)や一般口座を利用している場合は確定申告が必要です。

(追徴課税の種類)

追徴課税の種類税率
延滞税
(納期限までに納税が行われなかった場合に課される)
2.4~14.6%
過少申告加算税
(申告漏れやミスにより、税額が少なく申告された場合に課される)
10~15%
無申告加算税
(申告期限までに申告をしなかった場合に課される)
5~30%
不納付加算税
(源泉徴収税の納付を怠った場合に課される)
5~10%
重加算税
(脱税した場合に課される)
35~40%

(参考:財務省「加算税の概要」、関東信越税理士会「附帯税-はじめての税金」)

上表は「まじまじと見る」より「なんかヤバそう」という感覚を掴んで頂ければOKです。
間違いに気づいた時にすぐ税務署に申告すれば税率は低くなり、隠して税務署にバレた時は税率が高くなります。

株売却の確定申告をしないけど、税務署にばれない方法はあるか

(確定申告の義務があるにも関わらず)株売却の確定申告をしない場合、先述のとおり税務署にほぼ確実にバレます。

なぜなら、株売却の情報は全て証券会社から税務署に提出されているからです。

そのため、税務署にばれない方法はなく、税務署に株売却の確定申告を隠しても追徴課税されるだけでデメリットしかありません。

なお、近年は副業や投資をする会社員が増えたこともあり、会社員も税務調査の対象となる事例が増加しているため、税務署にばれる確率は更に高まっています。

(税務調査の状況は「令和●●事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について」国税庁から定期的に公表されています。)

また、会社員の場合、税務署にばれたら更に会社にバレる可能性があります。

なぜなら、修正申告で所得金額が変わると、住民税の金額も変わるからです。

住民税は会社員の場合「特別徴収(会社が従業員の代わりに自治体へ払う)」が原則であるため、不自然な住民税額の変動で会社の人事・労務担当者にバレる可能性が高いです。

このように、株売却の確定申告しないことが税務署にばれると前科が付いたり社会的信用を失うので、「わざと株売却の確定申告をしない」のは絶対に止めましょう。

国税庁は金融機関の口座情報を把握しており、課税・徴収漏れに関する情報の提供(言わば通報フォーム)、SNSなどから広く情報を収集しているため、逃げることはとても無理だと思います。

株売却を確定申告をしないけど、会社に副業(投資)がバレないか?

(確定申告の義務があるにも関わらず)株売却を確定申告をしない場合、税務署にバレる過程で会社にバレる可能性があります。

特に、税務署からの問い合わせや調査が勤め先の会社にも向けられた場合、会社は確実に知ることになります。

余談ですが、私も前職で、裁判所から従業員個人の給与差押えの連絡を受け取ったり、税務署からの問い合わせが来たりしました。

ただし、証券会社で特定口座(源泉徴収あり)にしている場合は確定申告の義務がなく、証券会社が源泉徴収をして税金(所得税15.315%、住民税5%)を国・自治体に払うため、通常会社にバレる可能性はありません。

また、一般口座特定口座(源泉徴収なし)で株売却の確定申告をしても、下図「確定申告書の第二表」で「自分で納付」にマルを付ければ、会社にバレる可能性はかなり低くなります。
(ただし、自分で住民税を納付する必要があります。)

確定申告第二表
確定申告書の第二表「住民税・事業税に関する事項」で「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」の「自分で納付」にマルを付ける

(参考:足立区「給与や所得が複数ある場合の住民税の徴収方法について」、国税庁「申告書の記載例」)

なお、「自分で納付」にマルを付けても、例外的に会社に通知される(バレる)可能性があります。

例外的に会社にバレるケース
  • 給与以外の所得がマイナスの場合
  • 「特定口座(源泉徴収あり)」で、確定申告で所得税や住民税を清算する場合

※いずれも会社が天引きする住民税が減るため、バレる可能性がある。

一般口座で株売却の確定申告をしないとどうなる

一般口座で株売却の確定申告をしないと無申告の状態になるため、税務署から確定申告漏れを指摘されます。

最悪のケースは先述のとおり、追徴課税が課されたり、刑事罰に問われたりします。

税務署は株売却の情報を証券会社などの金融機関から取得しているので、隠し通すことはまず難しいです。

また、確定申告をしないと損益通算や繰越控除といった税制上で有利になる特典を利用することもできません。
(参考:国税庁「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」)

そのため、確定申告義務がある場合、必ず確定申告をしましょう。

株売却の申告漏れの時効は原則5年

株売却の申告漏れの事項は、下表のとおりです。

時効
原則
(国税通則法 第72条)
5年
不正や脱税があった場合
(国税通則法 第70条)
7年

申告漏れや無申告の場合の時効は(法定申告期限から)原則5年であり、悪質な不正や脱税がある場合は7年に延長されます。

ただし、時効前に税務署から督促状が届いた場合、今までの時効のカウントがリセットされ、督促状が届いた日から時効のカウントが始まります。

特定口座(源泉徴収あり)だと、株売却で確定申告は不要

特定口座(源泉徴収あり)だと、株売却で確定申告は不要です。

なぜなら、証券会社が所得税や住民税の計算・納付を納税者の代わりにしてくれるからです。

そのため、確定申告が不要で、所得税も住民税も確定申告が不要になります。

ただし、確定申告をすることで税金がお得になるケースもあるため注意が必要です。

確定申告をした方が良いケース
  • 他に使っている証券会社の口座と損益通算をする場合
  • 譲渡損失の繰越控除をする場合

(参考:国税庁「特定口座制度」)

その他の注意点として、むやみに確定申告をすると株売却の利益や配当金が合計所得金額に足されるため、「配偶者控除」「国民健康保険料」などへ影響が出ることもあります。

特に国民健康保険料への影響は盲点になりやすく、私が初めて投資をしたとき(公認会計士・税理士になる前)にやらかしたことがあるので、注意してください。
(税務署の職員の人は相談しても納税者有利になる案内をしてくれず、騙された感覚になります。)

この点、おすすめの対処法は、確定申告シーズンに証券会社がメールなどで情報発信する内容を確認することです。
(所得税・住民税・社会保険料などの制度全体から、利用者へ損しないための注意点を網羅的に教えてくれます。)

特定口座(源泉徴収なし)だと、株売却で確定申告が必要

特定口座(源泉徴収なし)だと、株売却で確定申告が必要です。

なお、一般口座との違いは、証券会社から交付される「特定口座年間取引報告」で確定申告に必要な情報が計算・集計されているため、簡単に確定申告を行うことができる点です。

(一般口座の場合、全ての売買取引を自分で集計・計算しなければなりません。)

一方、特定口座(源泉徴収あり)にはない特徴として、給与所得以外の1年間の利益が20万円以下の場合は所得税の納税義務(確定申告義務)がないため、その分の所得税が節税できます。

(特定口座(源泉徴収あり)の場合は、1年間の利益が20万以下の場合でも源泉徴収がされ、確定申告をしても還付されない。)

ただし、特定口座(源泉徴収なし)で確定申告をしない場合でも、住民税は役所に申告をする必要があります。

また、医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例以外)などの特典を受けたい場合、20万円以下の株売却の利益なども確定申告をしなければなりません。

そのほか、特定口座(源泉徴収なし)の特徴として、確定申告・納付までに源泉徴収をされないため、投資資金を手元に確保しておける点が挙げられます。

(参考:国税庁「特定口座とは|特定口座(源泉徴収なし)」)

専業主婦は株売却の確定申告をしないといけない?

専業主婦など給与所得がない(株売却以外の利益がない)人の場合で、次の条件に当てはまる人は株売却の確定申告は不要です。

株売却の確定申告が不要なケース
  • 株売却の利益が基礎控除の48万円以下の場合
  • 特定口座(源泉徴収あり)の場合

ただし、株売却の利益が48万円以下の場合でも、確定申告をすることで源泉徴収された税金の還付を受けることができます。

なお、所得が48万円を超えてしまった場合、確定申告義務が生じるとともに、夫の所得税の方で配偶者控除が受けられなくなってしまいます。
(参考:国税庁「配偶者控除」)

そのため、リスクを回避するなら、素直に「特定口座(源泉徴収あり)」にするべきだと考えます。

なぜなら、特定口座(源泉徴収)ありだと、いくら株売却の利益を出しても配偶者控除の判定に含まれないからです。

株売却の確定申告と社会保険料の関係

(確定申告義務がないのに)株売却の確定申告を行うと、株売却の利益が所得に加算されてしまうため、社会保険料にも影響を及ぼす可能性があります。

社会保険料に影響が出るケース

以下の人が株式投資をしている場合、社会保険料に影響が出る可能性があります。

  • 扶養家族の人
  • 国民健康保険に加入している人(自営業の人)
  • 後期高齢者医療保険に加入している人(75歳以上の人)

特に、先述のように扶養家族が確定申告をすると、扶養家族から外れてしまい社会保険料の負担が増加する可能性があります。

そのほか、「国民健康保険」や「後期高齢者医療保険」に加入している人は、確定申告をすると社会保険料の負担が増加する可能性があります。

以上のような社会保険料が増額されるリスクを回避するなら、確定申告義務がない「特定口座(源泉徴収あり)」で株式投資を行うべきです。

株売却の確定申告に関するよくある疑問・回答

株売却の確定申告に関するよくある疑問・回答をまとめました。


株売却の確定申告をしないとバレますか?

株売却の確定申告をしないと、税務署にバレます。

なぜなら、証券会社は証券口座に関する取引情報を税務署に報告する義務があるからです。

そのため、納税者の証券取引情報は税務署に全てバレています。

追徴課税や刑罰が科されることもあるため、(確定申告の義務がある場合)必ず確定申告は行いましょう。

無申告は何年でバレますか?

無申告は、遅くても3年~5年程度でバレると思われます。

なぜなら、税務調査は一般的に過去3年~5年分の税務申告に対して調査するからです。
(悪質な場合は7年分)

近年は副業や投資を行う会社員が一般的になった影響で、会社員が税務調査の対象となるケースが増えています。

そのため、無申告や確定申告の漏れには、くれぐれもご注意ください。

無申告がばれた人はどうなるのか?

無申告が発覚した場合、先述のとおり、追徴課税や刑罰が科されます。

また、素直に追徴課税の支払いに応じない場合などは、銀行口座や給与が差し押さえられる可能性があります。

(参考:国税庁「差押えの要件」)

確定申告をしていないとバレますか?

(確定申告の義務があるにも関わらず)確定申告をしていないと税務署にバレる可能性があります。

なぜなら、税務署は銀行や証券会社などの金融機関であったり、給与などの支払情報を全て把握できるからです。

そのため、税務署に確定申告していないことはバレると考えるべきです。

(参考:国税庁「法定調書(源泉徴収票、支払調書)の作成と提出」)

株売却の利益が20万以下の場合、住民税を申告しないとどうなる?

株売却の利益が20万円以下の場合、住民税を申告しないと住民税の延滞金が発生する可能性があります。

なぜなら、国税(税務署)の確定申告の義務がない場合でも、住民税は金額に関わらず申告が必要だからです。

なお、一般的に言われいている「20万円ルール」は所得税の確定申告義務にかかるものであり、住民税は関係ありません。

そのため、住民票がある役所(自治体)に住民税の申告をする必要があります。

ただし、「特定口座(源泉徴収あり)」で株売却をすれば、住民税が源泉徴収されるため申告漏れすることはありません。

一般口座で確定申告を忘れた場合、どうすればいいですか?

一般口座で確定申告を忘れた場合、気づいた時点ですぐに税務署に申告を行ってください。

この場合、期限後申告として取り扱われ、忘れたことを隠し通すより追徴課税の金額などの罪が軽くなります。

(参考:国税庁「確定申告が間違っていたとき・確定申告を忘れていたとき」)

株売却確定申告しないとどうなる?

株売却の確定申告をしないと「無申告」となり、無申告加算税や延滞税が課される可能性があります。

基本的に「特定口座(源泉徴収あり)」以外の場合は、確定申告が必要です。

必ず2月16日~3月15日までの間に確定申告をしましょう。

(参考:国税庁「所得税のしくみ」)


株式投資におすすめの証券会社

株式投資におすすめの証券会社はSBI証券楽天証券ですが、私は特にSBI証券をおすすめします。

SBI証券はネット証券の中でも利用者が最も多く、投資初心者への情報提供が手厚く、特に複雑な毎年の確定申告の情報提供が網羅的で安定感があると思ったからです。

SBI証券は、詳細な情報はもちろんのこと、サマリー情報で「確定申告義務の有無」や「確定申告の流れ」がすぐに確認できるのがありがたいです。

なお、本記事で紹介したとおり、総合的には「一般口座」「特定口座(源泉徴収なし)」はメリットよりデメリットの方が大きいと思われます。

そのため、投資初心者は、余程のことが無い限り「特定口座(源泉徴収あり)」で株式投資をすることをおすすめします。

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